2013年、カンザスシティーの男性ホームレス、ビリー・レイ・ハリスはある貴重な体験をしました。 それはまた、彼の人柄を表すエピソードとして人々の記憶に残ることでしょう。
ある日、サラ・ダーリンという女性が街頭でビリーの前で立ち止まり、小銭入れを開け、ビリーが小銭を集めていたカップに中の小銭を全て入れました。
しかしその2~3時間後、帰宅したサラは自分が犯したとんでもない過ちに気がつきます。サラは婚約指輪を小銭入れに入れていたのです。不安のあまり気が狂いそうになりながら、サラはホームレスの男性に会った場所まで車を走らせて戻りましたが、そこに彼の姿はありませんでした。
指輪に気がついたビリーはその頃、指輪を査定するために宝石店を訪ねていました。ところが、宝石商が提示した査定金額にビリーは圧倒されます。本物のダイヤモンドを使ったその指輪に宝石商は、4,000ドル(2017年1月現在、約46万円)で現金買取を申し出たのでした。
ビリーは板挟み状態でしばらく悩みました。もし指輪を売れば人生を逆転することができるかもしれない。しかし彼の心の何かがその選択は正しくないと忠告します。 宝石商を前にビリーはしばらくの間立ちすくんでいましたが、結局宝石商に別れを告げ店を後にしました。指輪は依然所持したままでした。
翌日、指輪の紛失に憔悴しつつも例のホームレスの男性が座っていた街角に再び向かったサラは、そこに彼を見つけます。不安な思いで近づき、自分を覚えているか尋ねました。ビリーは覚えていると答えると、カバンから婚約指輪を取り出しサラに渡しました。「これがあなたにとってどれほど大切か分かる」
自身の困難な状況にも関わらず、指輪を換金することなく返してくれたビリーの行いに深く感謝したサラと婚約者は、その後、ビリーを援助するための資金調達キャンペーンを立ち上げます。エピソードを知った人々は、誘惑を退け持ち主に指輪を返したビリーに深く感動しました。
ビリーが新生活を送るために集められた寄付金は、程なくして合計200,000ドルもの(2017年1月現在、約2,300万円)驚くべき金額に達しました。キャンペーンの広報によって、ビリーは長らく音信不通だったテキサス在住の姉妹とも16年ぶりに連絡を取り合うことができました。姉妹はビリーが亡くなったものと思っており、真実を知り感激していたそうです。
こちらからこのストーリーについて視聴できます。(英語音声のみ)
これまで橋の下で度々過ごすこともあったというビリーは、その後、安全に暮らせる場所を見つけられたそうです。
指輪をネコババしなかった理由について、ビリーは「神の祝福だったか、私にもまだ品性が残っていたのかもしれない」と語っています。最大の美徳は、ときに最も質素で謙虚な場所に宿るのかもしれません。
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