1870年のアメリカで鉱夫の作業着として作られたのが始まりと言われるジーンズは、今や世界中で愛されるカジュアルファッションアイテムとなりました。
一般的なジーンズには5つのポケットがついています。前面の左右に2つと後ろの左右に2つ。そして前面の右側にとても小さなポケットがひとつあります。この小さなポケットはいったい何のためにあるのでしょうか?
一見ただの飾りのような、使いみちのなさそうなこの小さなポケットは、実は【WATCH POCKET(ウォッチポケット)】という名前がついています。アメリカで最初のジーンズを作ったリーバイ・ストラウス社のウェブサイトにはこう説明されています。
最初のジーンズにはポケットが4つあった。後ろにひとつ、前に2つと小さなウォッチポケットがひとつ。ウォッチポケットは当初は名前のとおり懐中時計を入れるためのものだったが、この小さな袋は多くの役目を果たし、さまざまな名前で呼ばれている。ほんの2,3例をあげるとコインポケット、マッチポケット、チケットポケットなどである。
そう、この小さなポケットは元々は懐中時計を入れるためのウォッチポケットと呼ばれるものだったのです。特にカウボーイらはベストに懐中時計を入れていたのですが、破損を防ぎ安全に保管するためにこのポケットが取り付けられたというわけです。
しかし20世紀に入り、懐中時計は腕時計にそのシェアを奪われてゆきました。それに従ってウォッチポケットも無用の長物となってゆき、ジーンズメーカーはこのポケットをサイズダウンし、コインポケットと名前を変更し、現代に至ります。
単なる飾りだと思って一度も物を入れたことがないという人も少なく無いとは思いますが、2015年における一番の正解は小銭を入れるということになります。もちろん自転車の鍵やUSBメモリ、切符や飴ちゃん、ライターなど、すぐに出したいけれど大きなポケットに入れると紛れてしまいそうな小物であれば何でも入れられます。
せっかく歴史の中で形を変えながらも生き残ってきたこのコインポケット、虫垂のような痕跡器官にしてしまうのはもったいないので、独自の使い方を編み出してみるのも良いのではないでしょうか。
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