ピットブルは闘犬として交配された犬種で、力が強く身体能力が高い犬だ。その力が人間に向けられると致命的ダメージとなり「危険な犬」とレッテルを張られている一方で、忠誠心と服従心が強く、忠実なペットとしての人気もある。
他の全ての犬と一緒で、育て方や環境が左右し、個体差もあるということだ。
アメリカのミズーリ州にいた野良犬のピットブルは、人間に飼われたことも訓練を受けたこともなかったが、人懐こくやさしい性格をしていた。
ある朝、家からふらりと外に出て通りをさまよっていた男の子を見かけると、そのピットブルはすぐさまボディガード役を引き受け、男の子が親と再会するまで完全警護をし続けたという。
10月のある朝、ミズーリ州セントルイスの住宅地に住む幼い男の子が、パジャマ姿で裸足のまま、ふらりと外へ出てしまった。
通りをさまよう男児にいち早く気付いたのは、野良のピットブルだった。ピットブルは、幼い子供を守ってあげようとボディーガード役を引き受け、そのそばを離れなくなった。
やがて、犬の散歩をしていた女性が男の子と犬に気付き、男の子が迷子になっていることを知った。女性は、カモリオンと名乗るその男の子のことを知らず、まして男の子の両親も、どこに住んでいるのかも知らなかった。
しかし、子供の恰好からそう遠くから来たのではないだろうと思った女性は、とにかくカモリオン君を両親のもとへ帰してあげなければと思い、通りに並んだ家のドアを1軒ずつノックし、子供の家の情報を集めた。
その間も、ピットブルはずっとカモリオン君のそばを離れず、女性について来たという。
カモリオン君、無事に父親と再会
カモリオン君の父親は、息子が家を出て1時間ほど経った頃に姿が見えないことに気付き、すぐに警察に通報した。
そして、息子が行方不明となった数時間後、父親はSNSで息子と一緒にいる女性が自分を探していることを知り、すぐに現場へと急行した。
その後父親は、通報を受けてすぐに捜索を開始していた警察とともに、無事にカモリオン君に再会することができた。
父親は、カモリオン君が女性とピットブルに守られていたことを知り、とても感謝していたという。
後のインタビューで、カモリオン君を保護していた女性は、このように話している。
靴を履いていないパジャマ姿というだけで、男児はとても世話が行き届いていて、ちゃんと育てられている子供だとすぐにわかりました。
私は、この地域で私たち祖父母の代からしてきたように、何かあった時には互いに団結して解決することが大切だと思っているので、犬とカモリオン君とずっと一緒にいました。とにかく、犬はずっと男の子のそばを離れようとしませんでした。
カモリオン君は、父親と再会した時には既にピットブルと友情を育んでいたようだが、ピットブルのボディーガードの役目は、カモリオン君が無事に家族のもとへ戻ったことで終わった。
野良のピットブル、警察署が引き取ることを検討
さて、それではこの野良のピットブルは、どうなってしまうのだろう?そんな疑問を持つ人も多いはずだ。
実は、このハッピーエンドには続きがあった。
後のメディア取材で、このピットブルの「男児への完全警護」に感心した地元警察は、署にて犬を引き取ることを考えていると語っていたということだ。ひょとしたら今頃は、既にそれが実現しているかもしれない。
【引用元】
http://karapaia.com/