私には4歳の息子と、0歳の娘がいます。
息子はとにかく甘えん坊で、どちらかというと手の掛かる子です。
やっと、子育てという息子との生活にも慣れてきた頃、娘を授かりました。
娘を妊娠中の話です。息子の出産から4年も経っていたので、(新生児ってどんなだっけ?)と久しぶりに息子のアルバムを出して見ていました。
「ママ何見てるのー?」
「息子が産まれた時の写真だよー」
そう会話したとたん、息子が急に声も出さずにシクシクと泣き出しました。
「どうしたの!?」
「その時悲しかったの」
「…え!?」
涙を流しながら息子はこう言いました。
「ママたちに会いたかったの。選んで来たのにずっと会えなくて。やっと会えて、だっこしてもらえたのに、ずっと一緒じゃなくて、離されたの。あの時はすごい悲しかったの」
この間、私はただ驚いて、何も言えませんでした。
息子に、胎内記憶の話や出産の話はしたことはありません。
作り話でもなく、本当に息子の記憶なのだと思います。
(離された…というのは、出産したのは夕方だったので、カンガルーケアなどの後、夜は息子は新生児室で過ごしました。次の日から母子同室だったので、その夜の事だと思います)
そう言い終えた息子は、ただ涙をボロボロ流して私を見つめます。
私は息子をギュッと抱きしめました。なぜか私も涙が溢れて止まりません。
ギュッとしたら安心したのか「うわぁーん!」と声を出して泣き出しました。
泣きながらも息子は言います。
「ママ達に会いたかったの。寂しくて悲しかったの」
「会えて嬉しかったのに、たくさん泣いちゃったんだよね」
私はこの言葉を聞きながら、「うん、うん、そうだったのね」と答えるので精一杯でした。
2人でギュッと抱き合いながら、どのくらいの間、泣いていたでしょうか。私自身、久しぶりにたくさん泣いてしまいました。
泣き止んだ息子は、何事も無かったようにケロッとしており、写真を見て「わー小さいね~」など言って、すぐに別のオモチャで遊び始めました。
その時以来、息子が赤ちゃんだった時の自分の事を話した事はありません。
たけど、あの時確かに息子は言ったのです。
「選んで来たの」
この日のこの言葉は、私が子育てしている中で、とても大切な魔法の言葉になりました。
私は息子と娘に選ばれたんだ。
そう思うと、大変な日々も愛しくなって、なんでも乗り越えられる気がするのです。
息子は娘が産まれても、急にお兄ちゃんになれるはずもなく、甘えん坊は変わらないし、手が掛かります。
娘もまだ産まれたばかりで、大変なのはこれからです。
ですが、あの日の息子の言葉を忘れずに、私はこれからも子育てを頑張って行きたいと思うのです。
【引用元】